今日5月14日から警戒レベルが 2 になり、かつての日常が徐々に戻ってくるようです。前倒しの秋休みやロックダウンによる閉鎖を経た子どもたちの学校は、週明けの月曜日から再び始まります。
その日常生活が戻り始める前の日、警戒レベル 3 の最終日に、子どもが通う学校の校長からメールが届きました。
そのメールにつづられていることは、日本の社会や学校では目にしないであろう内容でした。この記事では、そのメールから感じたことを紹介します。
気になるメールの内容は
少し長いメールで、まずは、ロックダウンから学校再開を迎えるまでの期間の地域や保護者への感謝から始まりました。
そして話は本題へ移ります。学校の先生たちや職員たちがいかに先例のない事態に対処してきたかです。かなり端折って大まかなに訳すと以下のとおりです。
当校の教師や職員はこの8週間、ロックダウン中にどう授業を進めるかのマニュアルも先例もない中で、懸命に努力、対処してきました。初めての事態で失敗もありましたが、私のもとには、メールやZOOMミーティングを通した学習が大好きだという生徒たちの話や、教師たちへの感謝を表すメールもありました。私は、そんな教師や職員の努力をとても誇りに思います。
失敗のあらさがし、批判、失望を伝えることは簡単ですが、明日からの警戒レベル2での教育を成功させるためには、今はそういったときではありません。教師やスタッフがこれからも前に進めるように、どうか保護者のみなさんからも彼らに感謝と労いのメールを送って下さい
どうでしょうか。日本の学校や会社で、こんな風に部下である教師や社員を褒めるでしょうか。ましてや保護者に「先生や職員に感謝のメールを送ってください」とお願いするでしょうか。
褒めてたり感謝する文化
ニュージーランドのどの学校でも保護者にこのようなメールを送っているのかはわかりません。もしかしたら「この校長だから」なのかもしれません。でも6年近くこの国住んでいてこのメールは感じるのは、「ニュージーランドらしいな」です。
ニュージーランドではとにかく褒めます。
子どもが通っていた空手教室。教えたことが少しでもできれば「Good Boy」、「Well done」と褒めていました。ふざけていた子や上手くできない子にだって、励ましたり褒めたりしてやる気を出させていました。
子どもにだけじゃありません。大人にだって褒めます。
私が参加している地元のホッケーチーム。体力ないから走れないし、そもそもホッケーの練習なんて一切しないから一向に上手くならない私。でもド下手丸出しのプレーにも「Good challenge」と褒めてくれます。絶好のチャンスを外したって「Nice positioning」、ヘロヘロで走れなくても「Good work」。
また、日本とは違う場面で日常的に「Thank you」と言います。
例えば、バスを降りるとき運転手に「Thank you」。スーパーマーケットやレストランでも会計が済んだら「Thank you」。
だから校長からのメールを読んだ時に「ニュージーランドらしいな」と感じたんです。なんでしょう、この前向きさは。
自分はどうなのか
日本にいるときは、子どもを褒めることは少なかったです。90点を取っても間違えた10点の話をするような。
日本では、自分のことはことさら褒めずに、謙遜して一歩引くような振る舞いが好まれます。子どもに対しては、長所を伸ばすより短所を克服させる教育やしつけじゃないでしょうか。
でもそれって、自己肯定感が欠如し、自信のない人間を作り上げるんですよ。私がいい例です。
そんな私にとっては、ニュージーランドの「褒めて感謝する文化」は時に、わざとらしく、うざく、「なんか裏があるんじゃないか」と疑うこともありました。
でも素直に考えたら、子どもでも大人でも褒められたり感謝されたらうれしいですよね。その方が楽しく暮らせるだろうな。失敗しても「次があるさ」と思えるだろうな。「次も頑張ろう」、「もう一歩踏み出してみよう」って背中を押してもらえるようで。