永住権。その言葉どおり「ニュージーランドにずっと暮らしていい」権利です。
あなたは、ニュージーランドの永住権(Permanent Resident Visa)の前段階に居住権(Resident Visa)があるのを知っていますか。実は私、2014年に永住権を目指してニュージーランドへ移住した際に、その居住権があることを知りませんでした。
なのでニュージーランドで暮らしている人から永住権の話を聞いたときは???となることが何度かありました。で、よくよく話を聞いたり、自分で調べてみると永住権の前に居住権を取得することがわかりました。
そこでこの記事では、もしかしたら私のように「居住権て何のこと?」って人がいるかもしれないと思うので、ニュージーランドの永住権に関する以下の二つを紹介します。
- 居住権、永住権、市民権への流れ
- 永住権などそれぞれの権利で得られる恩恵
居住権、永住権、市民権の取得順序
簡単に取得の順番と最低限必要な年数をは以下のとおりです。
居住権(Resident Visa) –> 2年 –> 永住権(Permanent Resident Visa) –> さらに3年 –> 市民権(Citizenship)
私も含めてそうですが、「ニュージーランドの永住権を取得した」と言っている人のほとんどは、この居住権を得た時点でそう言っています。
「えっ!『永住権取った』って言ってるのに永住権じゃないの?!」って思うかもしれませんが、厳密に言うと居住権と永住権は別モノです。で、私の今のビザも正確には居住権です。
多く人が居住権を永住権として話すのは、日常生活を送る上ではほぼ違いがないからです。私のブログでもこの記事以外は居住権=永住権として書いています。
”永住権”取得までの道のりは、こちらの記事で紹介しています >>> ニュージーランドへ家族で移住 2019年永住権取得 5年間の軌跡 タイムライン
永住権の先には、さらに市民権がありますが、私の周りには市民権を取っている人は少ないです。詳しくは後ろで説明します。
受けられる恩恵の違い
上で説明したとおり、居住権、永住権、市民権はそれぞれ別モノです。以下ではそれぞれの段階で受けられる恩恵(ベネフィット)を紹介します。
居住権と永住権でのベネフィット
居住権と永住権で受けられる恩恵はほぼ同じ(違いは後ろで説明します)なのでまとめて紹介します。
仕事選びの自由:職に就くさいのワークビザの心配は不要です。自営業も可。ニュージーランド人と同じように好きな仕事ができます。
公的医療は無料:日本のような皆保険制度はありませんが、公的医療は無料で受けられます(条件によってはワークビザでも同様です)
年金加入:年金(New Zealand Superannuation)は65才から受給できます。受け取れる条件は、居住権を取ってから10年、かつそのうち5年は50才以上。また、二階部分にあたる任意の年金制度(Kiwi Saver)にも加入できます。今のところはこの条件ですけど、そのうち変わるかもしれません。確か前回の選挙のときにそんな話がありました。
各種手当の受給:子ども手当、家賃補助、医療費補助などの手当も受けられます。世帯収入や18才以下の子どもの数による条件あり。
選挙権:居住権の段階で選挙権が与えられます。しかし被選挙権はないので、選挙に立候補はできません。ちなみにオーストラリアやカナダでは市民権を取らないと選挙権はないそうです。
居住権と永住権の違い
二つのビザの大きな違いは、
- 居住権:ずっとニュージーランドに住める。かつ2年間はニュージーランドへの出入りが自由
- 永住権:ニュージーランドで暮らすのも国への出入りもずっとOK
これだけです。詳しくは移民局の記事をどうぞ >>> What is the difference between a resident visa and a permanent resident visa?
上の法律とは別で、「住宅ローンを組むさいに銀行で『永住権じゃない』ことを理由に断られた」という話は聞いたことがあります。
市民権でのベネフィット
市民権となると話はだいぶ変わってきます。
一番の違いは、仮に私がニュージーランドの市民権を取ったら日本国籍を失います。別の言い方をすると、日本人ではなくなってニュージーランド人になるということです。居住権や永住権との最大の違いはこれです。
永住権と市民権の違いをいくつか挙げると、
- ニュージーランドのパスポートを所持できる
- 被選挙権がある
- 国際的なスポーツ競技でニュージーランド代表になれる
詳細は、リンク先の移民局サイトで確認できます。 >>> What is the difference between a New Zealand resident and a New Zealand citizen?
私は、今のところ市民権を取ることは考えてないです。日本の他にも住める場所を求めてニュージーランドの永住権を手にしたのに、市民権も得て日本に住めなくなっては本末転倒ですから。市民権で得られるベネフィットもそこまでの魅力を感じられませんし。
市民権を取った職場の同僚は、市民権の審査には試験もあってニュージーランド国歌を歌わされたと言ってました。ニュージーランド人になるんだから国歌くらい歌えないとね。
上で説明したとおり市民権は、居住権を取得してから5年経てば申請できます。その他の詳しい情報は移民局の記事で確認できます >>> Requirements for NZ citizenship
さいごに
私にも子どもたちにも、日本以外でも仕事や社会保障の制約がなく暮らせる場所があればいいので、市民権はさほど魅力はないと思っていました。
しかしコロナウィルス騒ぎは、市民権についてほんの少しだけ考え直す機会になりました。
今回のロックダウンでは、今のところニュージーランド人と外国人の区別なく扱っています。しかし将来、経済的に国が持たないなんてことになれば、どこかで線引きが必要になって、「外国人である永住者は救済の対象外」なんてことも有り得ますから。