オークランドでの暮らしは6年目。日々の生活の中で「いろんな国の人がいる」のがすっかりと当たり前になっている。
どれだけ多国籍かをざっと挙げてみると
ヨーロピアン系の人、マオリ、アイランダー(トンガやサモアなどの南太平洋の島の人)、インド人、東アジアの人(中国、韓国、日本)、東南アジアの人などなど
これだけ多国籍な人たちが暮らす社会で日本人は少数派ですけど、不思議と 自分がマイノリティって感じがしない。白い絵の具のパレットにポツンと一色だけあるとその色は目立つけど、いろんな色がポツポツとたくさんあると各色が目立たなくなる。そんな感じかな。
そんなことを考えていたらニュージーランドで生まれた赤ちゃん(海外で暮らすニュージーランド人の赤ちゃん含む)の名字に関するデータに出会った。
そこでこの記事では、そのデータから実情と日常的に感じている印象や見聞きしている話にどれだけ違いがあるのか探ってみました。
名字から見るここ20年の変化
まず、見つけたデータというのはコレ Top twenty New Zealand Surnames
データは、1913、1963、1988、2003、2013年のニュージーランド全体と最大都市オークランド、首都のウェリントン、南島の最大都市クライストチャーチの各都市における生まれた赤ちゃんの名字トップ20
このデータを基に以下のこれからの話を進めます。※1963年は、傾向に大きな違いがないため削除しています
ニュージーランド全土
2003年の9位にLee(中国)が、15位にSingh(インド)が登場しています。この辺りから世界の人口第一位と第二位の中国やインドからの移民が増えてきたということでしょう。
2013年には7位にSingh、8位にWang(中国)をはじめとして、8個もの非ヨーロピアン系の姓が現れてきました。2003年からの10年間で中国とインドからの移民が激増したことが明らかです。2017年辺りから移民法が厳しくなったの背景には、こういった事情が関係しているのかもしれませんね。
1913 | 1988 | 2003 | 2013 | |
1 | Smith | Smith | Smith | Smith |
2 | Wilson | Williams | Williams | Wilson |
3 | Brown | Wilson | Wilson | Williams |
4 | Taylor | Taylor | Brown | Brown |
5 | Jones | Brown | Taylor | Taylor |
6 | Williams | Jones | Jones | Jones |
7 | Anderson | Thompson | Thompson | Singh |
8 | Thompson | Walker | Anderson | Wang |
9 | Campbell | Anderson | Lee | Anderson |
10 | Johnson | King | Harris | Li |
11 | King | White | Edwards | Thompson |
12 | Clark | Campbell | King | Walker |
13 | Scott | Johnson | Walker | Lee |
14 | Thomas | Martin | Martin | Chen |
15 | Walker | Scott | Singh | Patel |
16 | Martin | Harris | Campbell | Zhang |
17 | Stewart | Thomas | Johnson | Martin |
18 | Wright | Hall | Robinson | King |
19 | Thomson | Stewart | Thomas | Harris |
20 | White | Clark | White | Kumar |
久しぶりにIELTSのWriting Task1を解いているようで楽しい。でもWritingでは客観的にデータから読み取れることだけ書きましょう。データから推測して自分の予測を書いちゃダメですよ。
オークランド
オークランドでは、2003年に1位がLeeとなり、かつ半数の10個が非ヨーロピアン系の姓になっていました。中国とインドに加えて韓国(Kim)からの移民も増えていました。
2013年には実に75%にあたる15個が非ヨーロピアン系です。赤ちゃんの名前をもとにした数字なので住民数とは違いますが、ここに含まれていない留学生や仕事で一時的にオークランドに滞在している人も含めると、かなりの非ヨーロピアン系の人がオークランドで暮らしてると考えられます。日本人の私がマイノリティと感じないのも間違った感覚ではないようです。
1913 | 1988 | 2003 | 2013 | |
1 | Jones | Smith | Lee | Wang |
2 | Smith | Williams | Smith | Li |
3 | Taylor | Taylor | Williams | Chen |
4 | Wilson | Jones | Brown | Liu |
5 | Reid | Wilson | Chen | Smith |
6 | Thompson | Brown | Li | Zhang |
7 | Brown | King | Patel | Lee |
8 | Edwards | Patel | Zhang | Patel |
9 | Mills | Thompson | Kim | Huang |
10 | Murray | Walker | Wang | Singh |
11 | Phillips | Anderson | Jones | Taylor |
12 | Shepherd | Stewart | Wilson | Wilson |
13 | Stewart | Thomas | Huang | Jones |
14 | Armstrong | Harris | Hall | Brown |
15 | Bennett | Johnson | Taylor | Wu |
16 | Carter | Shaw | Liu | Yang |
17 | Donovan | Green | Campbell | Wong |
18 | Greenwood | Simpson | Walker | Xu |
19 | Hodgson | Bell | King | Kim |
20 | Hogan | Martin | Lin | Zhou |
ウェリントン
ビックリするほオークランドと違いますね。2013年でも非ヨーロピアン系の名前は3位にPatelが入っているだけです。ウェリントンはオークランドと比べてヨーロピアン系の人が多いとは聞いていましたが、赤ちゃんの姓から見るとまさにそのとおりです。
1913 | 1988 | 2003 | 2013 | |
1 | Smith | Smith | Smith | Smith |
2 | Brown | Thompson | Williams | Williams |
3 | Williams | Wilson | Brown | Patel |
4 | King | Williams | Jones | Brown |
5 | Taylor | Campbell | Taylor | Jones |
6 | Wilson | Brown | King | Taylor |
7 | Reid | Jones | Wilson | Wilson |
8 | Richardson | Johnson | Edwards | Robinson |
9 | Robertson | Martin | Campbell | Johnson |
10 | Ward | Patel | Gray | Anderson |
11 | Collins | Anderson | Ferguson | Campbell |
12 | Hill | Cook | Johnson | Harris |
13 | Johnson | Ward | Martin | Johnston |
14 | Jones | Clarke | Simpson | Mitchell |
15 | Parker | Henderson | Davis | Thomson |
16 | Stewart | James | Henderson | White |
17 | Bennett | Stewart | Scott | Young |
18 | Campbell | Tan | Ward | Baker |
19 | Holmes | Taylor | White | Collins |
20 | Murphy | Thomas | Wright | Fraser |
クライストチャーチ
クライストチャーチは、オークランドとウェリントンの中間ですね。2003年にはLeeがランクインしていただけでしたが、2013年には4個に増えています。しかも全て中国系です。オークランドとウェリントンとは違い、インド人の名字が一つもないのは特徴ですね。
理由はどんなことが考えられるでしょうか。2011年の地震でオークランドに移った人が多いと聞いています。ですので、中国系が増えたと言うよりも、非ヨーロピアン系が減ったのが理由かもしれません。
1913 | 1988 | 2003 | 2013 | |
1 | Smith | Smith | Smith | Smith |
2 | Jones | Wilson | Wilson | Taylor |
3 | Rutherford | Williams | Brown | Brown |
4 | Taylor | Taylor | Williams | Jones |
5 | Wilson | Brown | Taylor | Wilson |
6 | Wright | Campbell | Thomas | Williams |
7 | Cooper | Thomas | Scott | King |
8 | Cox | Wright | Moore | Li |
9 | Duncan | Anderson | Harris | Harris |
10 | Hart | Harris | Anderson | Mitchell |
11 | Henderson | Jones | Jones | Robinson |
12 | Roberts | Moore | Lee | Scott |
13 | Thomas | Robertson | Robertson | Zhang |
14 | Watson | Scott | Watson | Thompson |
15 | Williams | Ward | Hill | Young |
16 | Adams | King | Johnson | Lee |
17 | Allan | McDonald | Stewart | Wang |
18 | Allard | Mitchell | Thompson | Johnson |
19 | Bennett | Walker | Ward | Martin |
20 | Boone | Davies | Young | Thomson |
多国籍を感じるエピソード
以前家族でこんなゲームをして驚いたことがありました。
どれくらい出たと思いますか。ザっと出ただけ30か国くらいあったんです。中には日本で暮らしていたら接点がないような国もありました。
例えばアイランダーと呼ばれているトンガやサモア。ニュージーランドに来る前は名前を聞いたことくらいはあったけど全く接点はありませんでした。しかしニュージーランドから近いこともあり、オークランドにはたくさん暮らしています。子どもたちが通う学校にもたくさんいますし、私の専門学校の一番の友人もサモア人です。
意外に多いのが南アフリカの人。中でも差別を受けていた黒人ではなくヨーロピアン系の人たち。治安の悪さが不安でニュージーランドに移民する人が多いようです。初めて借りた家のオーナーやその並びの家に住んでいた子どもの同級生、娘が初めて仲良くなった子が南アフリカから来た人だちでした。それまでに南アフリカとは全く接点がなかったのに、いきなり身近に現れて驚いたのを覚えています。
中国人は日常生活で世話になってます。彼らが経営するスーパー、通称チャイマ(チャイニーズマーケットの略)は、ニュージーランドの大手スーパーではあまり売っていない白菜や大根といったの日本人には馴染みのある野菜、豆腐、豊富な種類の米などを取り扱っているので、よく買い物に行くんです。
さいごに
オークランドでは様々な国の人が暮らしているのでマイノリティな感じがしない感覚とか、ウェリントンには非ヨーロピアン系が少ないといった聞いている話が、このデータを見る限りはうなずける。
20年後のオークランドやニュージーランドはどうなるんだろう。200年くらい前にはヨーロピアン系の人がいなかった国が、いつしか世間の印象ではニュージーランドと聞けばヨーロピアンにルーツがある人を思い浮かべるようになった。それが今では、オークランドでは必ずしもそうじゃなくなってきている。
ここ数年は移民を減らす傾向にあるニュージーランドだけど、私が老後を迎える20年後のオークランドはどうなっているんだろうか。ひょっとしたらヨーロピアン系の人が多数派じゃない都市になるのかな。日本人ももっと増えてほしいな。